1.
事業内容を精査したところ、設計業のみであれば、事業存続は可能と思われた。しかし、支払手形の大部分が融通手形であり、簿外負債が相当あることが判明。
2.
簿外負債と個人借入も含めると借入が相当な金額になり、この会社では事業継続は困難と判断。そうなれば社長は自己破産をせずに、今後の生活基盤を確立する事が必要。
3.
手元資金を確保するため、銀行の返済を止め、ノンバクについても返済をストップし、利息制限法による金利の引き直し等、債務整理交渉をアドバイス。4.
建築士の社員を代表として設計業の新会社を設立。旧会社の取引先のみ引継ぎ、社長はその会社の従業員として新社長を補佐、今後の生活基盤を確立させる。5.
旧会社について一般債権者は少額であり事前に1年間の分割支払で同意を得る。融通手形については決済が困難なため、やむなく不渡りとする。事前に融通手形の相手(社長の友人)と話をしたところ、 この会社についても今後のことについて、アドバイスする事となった。
6.
保証人対策として、自宅が保証人名義の場合、事前に「無余剰」の状態にします。(無余剰とは、不動産の時価以上に抵当権が設定され担保価値がない状態。 抵当権者以外が不動産を差し押さえしようとしても、裁判所に認めてもらえない。 銀行等の債権者に対抗する事ができるのでその不動産を守ることができる。)
7.
社長の自宅についてはいずれ競売となるが、競売の基準価格が出た段階で任意売買に変更し身内で買い取り交渉をします(一般に時価の約70%)。8.
保証協会については、払える金額にて長期分割返済を交渉、銀行については、無担保債権になると、 サービサーに売却されるので、サービサーから債権買い取りの交渉をします(通常、債権額の1~5%程度が一般です)。9.
自己破産せず、返せる範囲まで債務を大幅に圧縮。新会社は実質的な経営者は相談者で、再起のチャンスを作ることができた。